法律相談の実際

とある市の法律相談会場です(ただいま、相談者が途切れて休憩中です)。
役所の法律相談は、多くの場合、一枠の時間が20分しかないので、相談者から必要な情報を得つつ、満足してもらえる回答をするのも大変です*1

僕なりの相談スタイル

法律相談というのはどこでやっても基本は同じなんですが、「聞く」ことが基本だと思っています。僕なりのコツというかスタイルもここ数年で固まって来ました。

    1. まず、最初の挨拶。

相手に安心感を与えるため、緊張を解いてもらうため、できるかぎる朗らかにします。この時、相手の表情や返し方を見て、自分のキャラを使い分けています。

    1. まず相談者にしゃべってもらう。

相談者は、ある程度緊張して「これをこの順番に喋ろう」と考えてきたり、要点をまとめたメモを持参したり、と大抵は相当念入りに準備されています。「それで、今日の相談ですが、、、、」と水を向けると、堰をきったように話してくれます。それをある程度聞いてあげないまま、中途半端な段階で弁護士が話にカットインしていったら、不愉快に思われるかも知れません。そこで、なるべく話の腰を折らないように注意しながら、合いの手をいれるように交通整理しつつ、話しを聞いていきます。

    1. 全体の発話量は相談者がやや多め

会話全体に占める発話の割合は、相談者60から70%に対して弁護士40から30%程度がいいように思います。法律相談に来られる方には、もちろん色々な方があるのですが、どちらかといえば、「話を聞いて欲しい」という潜在的希望を持っておられる方が多いように感じているからです。

    1. 全体のバランスは最後にとる。

相談者が提示した事実を元に組み立てた結論なり意見は、ある程度早い段階で示すようにします。当然、弁護士ですから「一方当事者の話しからだけでは、断定は出来ませんが」とか「相手の反論としてはこのようなものがあり得、その場合、、、、」と言うことが言いたくなるのですが、それは最後に説明するようにします。事実認定の複雑な過程や枝分かれを上流から下流に向けて場合分けしながら説明していくと、確かに専門家の説明としては正確なものになるはずですが、大抵の場合わかりにくく、聞いている側は整理しきれなくなって混乱します。だから、僕の場合は、一度、相談者が聞きたい結論の部分までは貫通してしまうように心懸けています。上記のような説明は最後に回し、時間が許せば丁寧に意味を説明するようにしています。

*1:ぼーっとしてると、相談者が喋りっぱなしで制限時間いっぱいになったりします。因みに、制限時間を知らせる合図ですが、多くの相談所では、案内係の方が外からドアをノックしてくれる、という形でやっています