日弁連会長選

当業界の全国組織である日弁連が2年に一度の会長選挙の時期を迎えています。
 過去の選挙についてはさておいても,今年はちゃんと投票に行くつもりです。
 基本的な思想は違っていそうだし,選挙活動のスタイルにもあまり共感は出来ないけど,法曹人口の無謀な拡大計画と裁判員制度に歯止めをかける切っ掛け作りのために,高山俊吉弁護士に一票入れてきます。
 しかし,当業界は,本当に将来が心配な事態に陥っているのです。弁護士は八方美人ってところがあり,世間にどう思われるかってことを気にしすぎるところがあります*1。法曹人口の増員問題に反対することについては,まさにそういう観点からの足枷*2にはまっていて,みんななかなか声に出せない。一番声を挙げなければいけないのが,我々若手の世代だと思うのですが,諦めムードすら漂っているんです。
 無計画な増員がなされれば,誰が被害を被るか。これは、弁護士なんかよりも,粗製濫造された弁護士*3によるレベルの低いサービスを受ける利用者が一番損をすることでしょう。弁護士が増員されれば,弁護士の報酬が安くなると思われるかも知れませんが,残念ながら我が国は本当の自由競争が生じにくい国・業界ですから,価格破壊は進まないと思います。また,弁護士の全体数をいくら増やしても過疎地に弁護士は増えないと思います*4。そして、企業内弁護士や自治体が大量に弁護士を雇用する見込みもなく、訴訟事件は減少していると言うことで、弁護士のニーズそのものが増えていないのです。「結局、めざしたことは何一つ実現しないまま、弁護士の数だけが増えていくのではないか」と相当強い可能性を見据えて不安に思っている若手弁護士も多いはずです*5
 諦める前に意思表示だけはしておこう、今はそんな気持ちです。若手弁護士の皆さん、選挙行きませんか?

*1:こんなブログ書いているお前さんがまさにそうだよ,といわれそうですが

*2:既得権益を守ろうとしているだけと思われないか,等々

*3:語弊がありそうなので補足すると、ロースクール組の新人弁護士のことを粗製濫造と言っている訳ではありません。急増によってノキ弁、タク弁、ソクドクを余儀なくされるなどして、十分なOJPを積むことすらできずに、あたかも一人前の弁護士のような顔をして自由競争に参入せざるを得ない弁護士のことを想定しています。当たり前のことですが、弁護士はバッチつけただけでは一人前にはなれません。弁護士になってからの数年間、ボス弁や同僚イソ弁の活動を観察しながら、基本的な仕事のイロハや営業・接客・事務所経営・弁護士倫理その他弁護士として仕事をしていく上での必要なことをすべて学び取っていき、ようやく一人でも何とかやっていけるかなという自信を身につけていくのです。そういう徒弟制とか職人的なところがあるものなのです。そのような経験なり体験を積めないまま船出していくたくさんの弁護士が、危ない橋を渡らず、まっすぐ進んでいけるのか、心配です

*4:同じことは医師の世界でも既に起きているはずです。産婦人科医しかり、小児科医しかり、法医学教室の体制しかり、過疎地の医師も不足しているでしょう。

*5:僕もその一人です