日弁連会長選・仮報告

 業界外の方にとっては訳の分からない記事だと思いますが、ご容赦下さい。。。。

高山候補の惜敗と言っては言い過ぎか

 本日投開票のあった日弁連会長選。全単位会52*1のうち、宮崎候補が上回った単位会は38、高山候補が勝利した単位会は13、同数だった単位会1*2でした。詳しくはこちら→  http://www.nichibenren.or.jp/ja/updates/data/oshirase080208.pdf 
 こういう趣向のブログではないはずですが、、、今回は興味も危機感もあるので、思わず深入りします。
 獲得単位会数では、それほどの善戦とも思われない方もいるかも知れません。でも、超が2回くらいつくほどの情実選挙が常であった日弁連会長選では、この結果は善戦と言えそうです*3。高山候補といえば、これまで何度か会長選に立候補されていましたが、失礼ながら、現実味にかけた何でも反対の路線や共産党系のボキャ貧スローガンばかりが目に付き、主張の一部に共感できるところがあっても、得票にはつながってこなかったものです。それが、今回は戦い方にも工夫があり、若手や地方の危機感が共鳴してか、13単位会で主流派を破り、当会でも引き分けとなったようです。投票した私自身が今の結果に驚いています。

多少の分析

総得票

まず得票数では意外と差がありませんでした。

  • 宮崎氏 9402
  • 高山氏 7043

この数字を見ると、宮崎氏が獲得した単位会の数で見るよりもさらに善戦しているように見えますね*4

大都市で宮崎氏が勝利

そして、さらに興味深いのは、差の2359票がどこで付いたかということです。

  • 東京三会・・・・  宮崎氏 4399  高山氏 3015  差 1384
  • 大阪・・・・・・  宮崎氏 2025  高山氏  987  差 1038

東京三会と大阪弁護士会で生まれた得票差の合計が2422票ですから、大都会での得票差がそのまま全国での得票差になっています。

高裁所在地を含め地方中心都市や大都会隣接地では高山氏が勝利

 つまり、逆に言えば、地方ではほぼ拮抗しているという解釈でいいのかも知れません*5。高山氏が勝利した単位会は、愛知、広島、仙台、札幌、横浜、さいたま、千葉など*6地方中心都市及び大都市の隣接県で構成されています。大都会からあふれ出した弁護士が移転登録していきそうな中規模都市部では強い危機感、不安が共有されているのではないでしょうか。

選挙後

 この選挙では主流派が勝利しましたが、危機感を持っている層の声は確実に次期会長に投げかけられたと思います。次期会長がこの声をどう生かすか殺すかが大事でしょう。総会運営も含めて、大変な舵取りを迫られると思います*7。今回の選挙で寝た子が起き始めたと思って頂くべきでしょう。

*1:1都1道2府43県の47都道府県ですが、東京は3弁護士会に分裂しており、北海道は広すぎるためか4弁護士会が設置されていますから全部で52単位会あります。

*2:コメント欄でとてちてたさんに情報頂いたとおり、これが我が兵庫県弁護士会です

*3:派閥、事務所や大學の先輩後輩、修習の同期、など様ざまなしがらみを経由して、主流派への得票が働きかけられ、組織票が形成される一方で、興味のない大多数の若手は棄権。その結果、主流派候補が圧勝してきた歴史があります

*4:獲得単位会の数だけで比べればトリプルスコアですから

*5:統計学の正しい知識のある方が解説した方がいいと思いますが

*6:関東1都6県中では、実に4県までもが高山氏が勝利しています。

*7:願わくば、日本の前総理のような事になりませんように