和解金横領

ある事件で共同原告の代理人的立場をしておられたため,この被疑者のことは知っています。残念ですが,直近に2度も類似事件を起こしておいて,さらにこの横領金額では,刑事事件としても厳しい処分になるでしょうし,弁護士としても除名,大阪弁護士会からの退会*1など厳しい処分が予想されます。「弁護士もこれをやっちゃあおしまいよ」というくらい最もやってはいけない行為と言うべきでしょう。

和解金横領で弁護士逮捕 京都府
 (前略)川合容疑者は2004年1月ごろ、京都地裁に起こされた相続財産確認請求事件の被告側弁護を担当し、05年1月に和解が成立。自分名義の口座に送金され、被告側の京都市右京区の女性(56)ら3人が原告側から受け取るはずの計約2500万円を横領した疑い。川合容疑者は02年2月と同11月にも、訴訟の和解金の一部を着服するなどして大阪弁護士会から業務停止の懲戒処分を受けている。
2006年09月12日13時47分(西日本新聞


ところで,事件の和解金を弁護士が作成した口座に入金してもらうことは,ほとんどの弁護士がしていると思います。ただ,弁護士の単なる個人名義の口座を用いることは少なく,最近では「預り金口弁護士○○」とするなど,弁護士個人の財産と区別し,業務上の預かり金であることを明らかにする名義を用いることが多いです。さらに進んで,「依頼者○○用預かり金口弁護士○○」としたいところですが,依頼者数が多くなると同じ銀行支店でたくさんの口座を開設することになり,事務が繁雑となりますし,銀行によってはこのような多数の口座開設に難色を示すこともあるので,実際にはあまり行われていません。

*1:弁護士は弁護士会に所属しないと業務出来ませんので,退会命令は除名に等しいと言われます