審判の朝、高い空


 少年審判に付添人として出席してきました。審理を終えた審判官と調査官が評議に立ち、決定を待つ間、少年の視線は窓の外に注がれていました。
 薄いレースのカーテン越しに広がる高い空、雲一割くらいの青い空、低空を散りながら飛んでいく桜。近くの空港を飛びたつ何機もの飛行機が審判廷に断続的な音を届けるだけの静かな空間。気のせいか、鳥の往来も多いことに気づく。わずか5分の叙情的な待ち時間。
 この風景と時間が、少年本人の記憶にはどのように残ったのか気になりながら、審判廷を後にしました。