送達場所の調査
訴訟を提起するとき、裁判所に訴状を出します。その後、訴状がどうやって被告さんの手元に届くかご存じでしょうか。弁護士も普段はあまり意識しないんですが、結構ややこしいです。なお、下記したもの以外に公示送達なんてのもありますが、これはまたの機会に。
通常の場合
まず、ごくごく普通の展開では、裁判所に提出する2通の訴状*1のうち、1通が裁判期日の呼び出し状や答弁書の雛形などと一緒に、裁判所から被告の住所に送付されます。このとき、郵便局の人が実際には届けるんですが、特別の書留郵便の形を取って送られます*2。被告が住所に在宅していて郵便局の人から受け取れば、送達が完了します*3。
土日夜間の送達、就業先送達など
ちょっとイレギュラーなものでは、日中に不在連絡票などを入れても取りに来ない被告さんの場合があります。この場合、土日夜間などの在宅しやすい時間を狙って再度送達してもらうようにお願いします。また、被告の勤務先などが分かっている場合、その勤務先に郵送してもらうことも可能です。
付郵便送達
それでもダメなら、いわゆる付郵便送達というのがあります。被告がその住所に住んでいるということがある程度の資料から伺えると言う前提ではありますが、裁判所からその住所宛に郵便物を発送しただけで、「発送時点で被告が受けとった」という効果を擬制する仕組みです。この付郵便送達というのをするためには、被告の住居調査というのが必要です。どんなことをするかというと、例えば次のようなことをします。
- 被告の住民票や登記簿謄本等を取り付ける
- 被告の住所周辺の住宅地図などを参照して、被告の名前が記載されているかどうか調べる
- 被告の住所に実際に赴いて、在宅しているか確認する
- 被告の住所やその周辺の状況を観察して、在宅している形跡があるかどうかを裁判所に報告する
- 被告の住所周辺の住民らに聞き込みをして在宅状況等を調査する
見てお分かりと思いますが、実際に相手に遭遇する可能性もあったり、探偵もどきみたいなこともするので、結構スリリングな展開があったりもします。聞き込みなんか、かなり怪しまれますしね。