家事審判事件(成年後見)

自分のことは自分でしたい、でも不安はある。。。

 これまで頑張ってきた高齢者世代の方、障害をお持ちの方など、健康や年齢などさまざまな条件から、財産管理その他の事項について「ひとりでは不安」だと思われるケースがあります。そういった不安をお持ちの方やご家族の方には、民法の「後見」「保佐」「補助」といった成年後見制度を知っていただきたいと思います。
 平成12年から施行された成年後見制度*1は、本人の自己決定を尊重し、残存能力を活用しつつ、これらを本人保護という要請と調和させようとする観点から導入されました。施行から7年を経て、いろいろな問題を孕みながらも、制度は確実に定着しています。
 後見は、本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるときに適用されます。選任される後見人は、法定代理人として療養看護、財産管理の事務を行います。
 保佐は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分なときに適用されます。保佐人は、重要な財産上の行為について一般的な同意権限を持つほか、同意無しにした法律行為を取り消すことが出来ます。また、個別の審判によって代理権を与えられ、本人の代理人として行動する場合もあります。
 補助は、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分なときに適用されます。補助人として選任されると、特定の法律行為について同意権を持つほか、個別の審判により特定の法律行為について代理権を与えられることがあります。

成年後見についても弁護士に相談してください。

 成年後見の問題では、まずは本人の健康状態、残存能力の評価が重要になります。弁護士は医師ではありませんので、ご本人の健康状態について診察したり、診断することは出来ませんが、主治医やご家族からご意見を伺いながら、各種の法制度メニューの中から、どの手続を選択し、その適用について審判などの手続を代理して、権利擁護につなげていくことができます。
 例によって、相談するのはどこでも結構です。弁護士会や法テラスなどの常設相談場所でも,市役所などの相談でも,僕の事務所でも大丈夫です。成年後見という言葉は独り歩きして、結構有名になりましたが、その中身、どんなことが出来るのか、などについてはまだまだ知られていない部分もあるようです。まずは、相談からはじめてみてはいかがでしょうか。

*1:この制度が成立・施行されたころ、僕は司法修習生でした。司法試験受験時代は改正法すら未成立。禁治産、準禁治産などという言葉を勉強していたけれど、使ったことは一度もありません。今見ても、すごいインパクトのある言葉だなと思います。やはり、「禁」の字あたりの強さでしょうか。そうえいば、禁帯出と書いてある本を図書館で初めて意識したときも、ちょっとはドキッとしましたっけ。