インターネットで?

設例と回答

打ち合わせ室にて
弁護士「この点については、○○です」
依頼者「え〜、インターネットで調べてみたら、△△と書いてありましたけど」
弁護士「・・・*1・・・そう!よくご存じですね。で、そこから先がこうこうで、こうでして、こうなると思うんですよ。いわば、△△はスタート地点ですね。○○は紆余曲折を経たゴールとでもいいましょうか。いや、しっかり勉強されている方だと説明もしやすいですよ。助かります。ハハハ*2

解説

 出鼻をくじかれる
 話の腰を折られる
など、日本語にはいろいろな表現方法がありますが、まあ、そういう感じになりやすい会話パーツです。弁護士もある程度話の流れ事前に構成してから話し始めているので、途中で流れを切られる*3と参ってしまうのです。話をぶった切る方法としては、いろいろあるのですが*4、このインターネット知識開陳方式も強力な武器の一つです。特に、インターネットで仕入れた知識を結論に直結して、弁護士からその結論に合わせた話を聞き出そうとする人の場合は、破壊力抜群です。話が自分の想定していない方向にそれそうになると、この強力な武器を繰り出します*5。この破壊力の前では、弁護士風情の事前の構成など無力です。対抗しようとするとかならず会話は破綻します。このように、相談者がこの武器を手にしたときは決して抵抗してはいけません。相手のインターネット知識をベースキャンプにしてそこから問題解決への道のりを進めていくことです。弁護士の現場対応能力が問われていると言って良いでしょう。
 もちろん、言うまでもありませんが、インターネット知識はバカになりません。何しろ、膨大な情報量があふれかえっています。中には、現役裁判官が情報提供する法曹用サイトや、弁護士が作成している情報サイト*6、その他の団体が作成している内容充実のサイト*7があって、使い勝手も悪くありません。知識レベルで言えば、弁護士よりもよっぽど色々なことを知っている人が法律相談に訪れるということも稀ではありませんね、ホント。
 そうすると、彼らには何を与えて満足してもらえばいいのでしょうか。それは、知識の洪水の中で溺れないように泳ぎ方を教えること、向かうべき対岸を指し示し、進路についてアドバイスすることあたりでしょう。相談者が法律相談に期待する中身としては、知識を得ること、知識を整理すること、判断のための指針を得ることなどがありますが、ネット時代の法律相談は後二者の意義が高まっているといえそうです。知識だけでは回答が出ないものですからね。

追伸

 この手法、講義や講演会の質疑応答なんかでも応用できます。

*1:プライドの高い弁護士先生の中には、ここで「なに〜。にわか勉強があ!!中途半端な知識をひけらかすんじゃね〜!」などと怒る方もあるかもしれませんが、あえて身を乗り出して→

*2:←ちょっとやりすぎ

*3:2ch用語で「豚切」ってのがあるんですが、それです。全然関係ないですけど、この手の当て字結構好きです。

*4:やられると困るので、あまりアドバイスしない

*5:聞く耳ないひとだと何度でも繰り出してくれます

*6:例えば http://www.syakkin.biz/ ←同期で大阪弁護士会所属の吉田弁護士のHPです。弁護士が見ても良くできたサイトです。

*7:例えば、 http://www.riconavi.com/ ←離婚問題について網羅的に扱うサイト