過払金返還請求

相談前

 辰さん(仮名)は,長く東北地方に在住していましたが,夫と死別したため,郷里である関西に帰ってきた方です。辰さんは,平成2年ころに地元の金融業者から50万円を借り入れ,それを利息込みで毎月1万円ずつ返済していました。同居を開始した親族が,毎月決まった日に振込に出かける辰さんの行動を不審に思って問いただしたところ,借金の存在が分かったのでした。辰さんは,いくら返しても残高が減らないのでおかしいとは思っていたものの,契約書などはすべて紛失してしまっていたので,理由を確かめることが出来ませんでした。

LOながき法律相談

 親族に連れられて事務所に来られた辰さんは,慣れない場所のためか,最初は緊張されていましたが,意外とアットホームな事務所の雰囲気と弁護士の話しぶりが大げさでないことに安心して,次第にリラックスして話が出きるようになりました。辰さんは,資料がないながらも,取引業者名と借入額,最初の取引時期,毎月の返済額などを説明しました。支払月によって数日の遅れが出ることもありましたが,これまで穴をあけることなく毎月返済していた,ということでしたから,事情を聞いた弁護士としても,多額の過払金が発生する可能性があると予想しました。辰さんから委任状を頂き,委任契約を締結して,弁護士が辰さんの代理人として活動を開始しました。

解決への流れ

 弁護士から業者に対して受任通知という文書を発したところ,毎月支払日前後にかかってきていた業者からの督促や確認の電話が止みました。弁護士が業者から取引履歴の開示を受け,これを法定金利による取引に引き直して分析したところ,400万円もの過払金が確認されました。弁護士はまず話し合いによる示談交渉を持ちかけましたが,業者は交渉で歩み寄りを見せなかったため,辰さんを厳酷とする不当利得返還請求訴訟が提訴されました。しかし,提訴を知った被告(=業者)が紛争継続を断念したため,訴訟外で和解が成立し,辰さんの請求額どおり過払い金の支払がありました。弁護士は,辰さんに結果を報告し,弁護士報酬と立替費用を精算して,残額を辰さんに引き渡しました。

ちなみに弁護士費用

 この事例では,着手金は3万6750円(税込み),報酬金は84万円(税込み)が標準的な報酬額になり,依頼者の手元には310万円余りが残ります。