交通事故(物損1)

相談前

 仙蔵さん(仮名)は税理士事務所の職員さんです。顧客の事業所を回って,納税関係の資料を集めたり,税務署へ行ったりと忙しい毎日です。そんな仙蔵さんが,先日,追突の交通事故を起こしてしまいました。幸い相手に怪我はなかったのですが,相手の車が損傷して150万円の修理費用がかかりました。なお,追突した原因には千葉さんの前方不注意もありましたが,相手方が急ブレーキを踏んだことも無関係ではありませんでした。また,修理費用の中には今回の事故でついたとは思われない傷があり,事故との関係が疑われました。他方,仙蔵さんが携帯電話で警察に通報したため,この様子を見た相手方が「運転しているときにも携帯電話を使っていたのだろう」と邪推し,実際にはそうではなかったのですが,仙蔵さんは謂われない非難にさらされることになりました。仙蔵さんは,自動車の任意保険をかけていなかったために,相手方と直接交渉しなければなりませんでしたが,相手方は強硬で,仙蔵さんは交渉の電話がある度に,しんどい思いをしていました。

LOながき法律相談

 友人の法律事務所職員に紹介されて来た仙蔵さんは疲れていました。仙蔵さんも事故を起こしたのは自分も悪いと思っているのですが,相手方が必要以上に興奮し,電話の度毎に,大声で仙蔵さんの責任を追及し,度を超えた非難の言葉を浴びせかけ続けたからした。
事情を聞いた弁護士は,「事故当事者同士が感情的に話し合うのでは解決が難しい。追突事故では,追突された側が100%の被害者と思いこみがちで,追突した側は萎縮しがちだが,実際にはいろいろな事情が考えられる。今の当事者は双方とも冷静に議論できる状況にないので,第三者の介入が必要だろう」と考え,事件を受任することにしました。仙蔵さんから委任状を頂き,委任契約を締結して,弁護士が仙蔵さんの代理人として活動を開始しました。

解決への流れ

 弁護士はまず介入通知と題する郵便物を相手方に送付しました。ほどなく,相手方から弁護士事務所に電話が入りましたが,やはり興奮していて,何度かの電話交渉や面談でも双方の溝が埋まりませんでした。そこで,弁護士は,相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に債務額確定調停を提起しました。調停は,訴訟とはちがって話し合いの場です。しかも,当事者双方が面と向かってディベートをするわけではなく,裁判所の調停委員という人たちを介して話し合いを進めていくので,お互いに冷静になれます。本件では,公平な第三者が間に入ったことで相手方の譲歩を引き出すことが出来,調停成立という形で賠償問題が解決。仙蔵さんは相手方に対して100万円を支払うことに決まり,仙蔵さんは約束の日に支払を済ませました。

ちなみに弁護士費用

 この事例では,着手金は21万円(税込み),報酬金は5万2500円(税込み)が標準的な報酬額になります*1

*1:ちなみに,この金額は,選択した手続が調停だけでも,訴訟だけでも,調停+訴訟という流れになった場合でも,変わりません。ただし,訴訟が第2審に進んだ場合は,別途費用がかかりますので,ご注意ください