薬害肝炎訴訟

事例

 白鳥さんは,現在,デザイン事務所を主催する自営業の男性です。
 白鳥さんによれば,白鳥さんは20年前の交通事故で大きな手術を受け,その際に特定のフィブリノゲン製剤と言われる薬剤を使用されて,C型肝炎*1に感染したということでした。当時の自民党政権下で被害者救済の枠組みが作られたので,その手続を取りたいということでした。

解決の流れ

 いわゆる薬害C型肝炎については,患者の方々と弁護団の弁護士達の長い法廷闘争の結果として,国と弁護団の間で和解が成立し,国は救済のための制度を策定しました。具体的には,独立行政法人医薬品医療機器総合機構*2というところを設立して,患者らは,同法人に対して給付金の請求をすることになったのです。ただ,その請求書には,裁判所での和解調書などを添付しなければならない決まりになっています。つまり,まず,裁判を起こさなければならないのです。裁判では,「血液製剤の投与事実」,「C型肝炎の発症」,「両者の因果関係」,「現在の症状」を確認していくことになります。事案により種々の困難を伴うものですが,白鳥さんの場合は,20年前に手術を受けた病院が現在も存続していたこと,定期的に検診に通っていたためにカルテが残っていたこと,当時の主治医の協力が得られたことなどから,上記の内容を全て確認することが出来ました。白鳥さんの病状は慢性C型肝炎と診断されました。
 弁護士は,通院先の病院から膨大なカルテの写しを取り付け,患者の方の経過説明などを繰り返しを聞き取りました。時に分からないことは主治医に率直に質問したり,文献を収集参照するなどして,理解を進めます。紆余曲折を経て,裁判所での和解勧告,国からの和解応諾にこぎ着け,3回の口頭弁論で和解を成立させました。
 その後,上記の独立行政法人の窓口に対して所定の請求書を提出し*3,給付金*4の支給を受けました。なお,上記の基本合意書では,給付金とは別に弁護士費用の一部を国が負担する合意も出来ており,厚生労働省から100万円の支給も受けることが出来ました。

ちなみに弁護士費用

 この事例は特殊なケースですので,一般的な基準とは異なった弁護士費用になります。
 当事務所の場合,着手金は52万5000円(税込み),報酬金は105万円(税込み)が標準的な報酬額になります*5。国から受領した解決金で報酬金の一部を支払いましたので,白鳥さんの手元には1995万円が残りました。

その他(和解基本合意書の内容と当時の新聞記事など)

 こちらです↓
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/youshi/news/2008/CK2008011602086959.html
 なお,薬害肝炎弁護団*6に私は入っていませんが,弁護団に入っていない弁護士が取り扱っている訴訟も一定数あって,基本合意書に従った解決がなされているようです。国谷製薬会社が争ってくる姿勢を示しているなど,弁護団の協力が必要な事件もあると思いますので,一度ご相談ください。

*1:もともと肝炎にはA型とB型しかなかったそうで,当時は,新しい肝炎の種類だと言うことで「非A非B型肝炎」と呼ばれていました。当時のカルテにはnAnBなどと記載されていることもあります

*2:ホームページはこちら http://www.pmda.go.jp/ 

*3:和解調書正本,患者の住民票を添付

*4:2000万円

*5:立証の難易度によって報酬金額の増減額がありえます,

*6: ホームページはこちら http://www.hcv.jp/