法教育と貸金業の規制
債務整理事件や破産事件などで日常的に貸金業の人たちと接します。
貸金業者にもいろいろな人がいるのですが,いろんな人がいるのはお互い様で,債務者にもいろんな人がいます。今まで依頼を受けた人の中には、「キャッシングのカード」をキャッシュカードと勘違いし、借入れ「枠」を自分の口座残高と勘違いし、借入れのことを「引き出す」と表現する人がいました*1。「借金=お金を借りるという行為」であるとの自覚もない人もいましたね。
そこには,もちろん貸金業側の広告宣伝戦略*2,勧誘方法*3の妙もあるのでしょうが,やはり教育の問題を感じざるを得ません。社会の仕組みを十分に教えられず、それを理解しないまま社会に出た人たちが多い。消費意欲をくすぐられれば十分な経済的裏付けのない消費行動に出る。そして,その隙間を埋めるために借金に頼るという単純化したモデルが想起されます。お金や経済というものは決して高等教育でのみ研究すればいいと言うものではなく,それこそ義務教育の範囲で必ず知っておくべきことだと思うのです*4。お金の問題に限らず,社会で生きていくための知識と考え方を身につけるという意味の法教育が必要だと思いますが,それがすぐに実現しないのであれば,成熟した社会を待つ間,やはり貸金業のあり方を規制する方を検討すべきである,と思います。