辞任

 弁護士と依頼者の関係は、委任契約という契約関係で結びついています。その背景には、事件処理方針・状況の説明とそれに対する納得があります。これがずれはじめ、修復不能な状態になったときには、委任契約関係は終了することになります。終了のさせ方には色々ありますが、依頼者が終了を宣言するのが解任、受任者が終了させるのが辞任です。
 よく言われるのですが、弁護士は何も依頼があればすべて依頼者の指示どおりにしているという訳ではなく、出来ることと出来ないことは峻別しています。弁護士への依頼も契約*1ですから、双方の意向が一致して初めて契約になります。その意味で、弁護士から適切と思われる方針を説明し、依頼者が納得して初めて、事件の適切な処理が可能になる訳です。方針が違うのに無理して契約関係を存続させるのは双方にとって得策ではありませんから、早い段階で問題を認識して契約を解消*2できれば良いと思います。
 なお、辞任したとは言っても敵に回るわけではありませんから、当該事件がうまく解決することについて、弁護士は気にはしています。新聞報道などで良い結果を知れば、ホッとするものです。

*1:委任契約であると言われています。

*2:方法は法定解除、約定解除など色々ありますが、やはり一番穏当なのは、合意解除でしょう