共犯

 刑事事件の共犯者同士というのは,「昨日の友は今日の敵」と言うことが多いです。
 グループのリーダーとその右腕が対立した場合,捜査側は,事件への関与を認めた右腕を説得して,否認しているリーダーに対する証人としての供述もとります。グループの内幕を知っている人物だけに証言の迫真性は高いのですが,なにぶん元共犯者が警察に協力しようと言うのですから,それなりに感情的なものや打算があってのことと容易に想像できます。警察への協力によって自分の情状を良くしよう*1とか,そもそもつかまったのは共犯者のせいだから,と腹を立てる感情とか。その点は慎重に評価しないと証拠の価値を誤るおそれがあるので注意が必要です。ライブドア事件でも,堀江と宮内による対決の構図がクローズアップされて報道されていますが,証拠構造*2によっては裁判のキモになる場合もあるわけで,国民の関心が向くのも致し方ない面がありますね。

*1:刑期を短く,あるいは執行猶予をつけてもらうとか,手加減のある論告を期待するとか

*2:他に証拠が無く,主犯と共犯者のうち,どっちの供述を信用するか,という手法しか考えられない場合など