バンドの活動方針巡る傷害事件

少し古い記事ですが、日刊スポーツより*1

布袋寅泰が意見食い違いで町田康殴る

 芥川賞作家でロック歌手の町田康(45)が今年6月、ギタリスト布袋寅泰(45)に顔などを殴られたとして、千葉県警君津署に被害届を提出していたことが26日、分かった。2人は参加しているロックバンドの活動方針をめぐり意見の食い違いがあったという。君津署は町田、布袋の双方から事情を聴き、布袋を書類送検する方針だ。(中略)町田は81年、町田町蔵の芸名でパンクバンド「INU」のボーカルとしてデビュー。00年に小説「きれぎれ」で芥川賞を受賞した。2人はロックを通して親交があり、昨年は布袋の音楽活動25周年アルバムでギタリストとボーカルとして共演もしている。(後略)
[2007年7月27日7時56分 紙面から]

 殴って怪我させたわけだから、布袋氏が立件されるのもまあ仕方ないところです。
 しかし、何となくシチュエーションが想像できるな、と。布袋氏の気持ちが全く分からない訳じゃないです*2。ロックバンドというのは、核になるメンバーとしては、ギタリスト、ボーカリスト、ベーシスト、ドラマー、キーボーディストあたりで多くても5人くらい。音楽を作るときは特にですが、籠もって籠もって少人数の仲間とぶつかり合いながらひとつのものを作っていく。struggleというのが適切なイメージでしょう。もがき苦しみぶつかりあうわけです*3。僕も大学の時やっていましたが、学生バンドの素人同士ですら、バンドの方向性とか各自の取り組み方、その他些細なことを巡ってしょっちゅう喧嘩とか揉め事*4が絶えないものです。ましてや、表現者として自己主張し、強い個性をぶつかり合わせるレベルになれば、なおさらだと思います*5。表に出ないところで、事件すれすれのバトルが展開されていてもあながち不思議には思われないです。ただ、そこは酸いも甘いも味わってこれから円熟期に入っていこうとする40代後半の大人として、身体以外でぶつかり合って欲しいなと思うところです。

*1:引用元はこちら→ http://www.nikkansports.com/entertainment/p-et-tp0-20070727-232999.html

*2:ボウイのCDは持っていますが、特に布袋氏のファンというわけではありません。

*3:今回は本当にぶつかり合ってしまったわけですが

*4:青臭い議論をしたり、建て前と本音を戦わせたり、メンバー間の温度差をどうするか話し合ったり、バンド内で色恋沙汰があったり、、、と色々です。そのころのしこりが喉の奥に引っかかったような感じになり、今でもなかなか連絡が取れないメンバーもいます。音楽をやりたい、という思いには様々な背景や程度があるのに、あのころの僕たちはなぜか同じ方向を向いていないと心配で、摩擦を生むとわかっていても、余計なことばかり言いあっていました。そこは小さくて閉鎖的ではあっても立派な社会。人同士のぶつかり合いや距離感についてそれなりの社会経験をしたなあ、と今もほろ苦く思い出す日々です。

*5:人気のあるなしにかかわらず、バンドとは解散するものと思っており、有名なバンドが活動休止したりしても全く驚かないです。ただ、それだけに、サザンとかチューブとか海外ならストーンズとかお化け長寿バンドは、すごいな〜と思います。