大黒柱の孤独
産経新聞の論評記事を読みました。同感です。
なぜ死ぬ?なぜ殺す? 大黒柱の父の「強さ」と「弱さ」
4月6日12時5分配信 産経新聞
(前略)
江戸時代の面影を残す閑静な住宅街、東京都文京区小石川の一角で3月28日未明、町工場の経営者が家族を道連れに無理心中を図った。
(中略)
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)は語る。
「家族間の無理心中の場合、決して家族仲は悪くない。特に責任感や愛情が強い男性の場合には、自分が自殺し、残された家族に苦労を掛けるなら一緒に死のうと考える傾向がある」。江成容疑者は、地元の信用金庫で働いていた伸子さんに一目惚れして結婚。3人の子供を授かった。中小企業の経営者として仕事に追われる中でも、休日には妻や子供をディズニーランドにたびたび連れて行くなど、家族サービスも忘れなかった。介護が必要な三男さんについては、家族全員で面倒を見ていた。
(中略)
仕事が行き詰まったとき、生活に困窮したとき、あなたは何を考えますか? 江成容疑者は決して“例外的な父親”ではない。「ひとりで抱え込むな」と碓井教授は言う。苦しいとき、どうにもならないと感じたときのやり過ごし方を、こうアドバイスしている。「家族に弱みを見せたくないと考えるのが日本人男性の『弱さ』です。思い切って悩みを妻や子供に打ち明けてみたら、意外に心強く、一緒に困難を乗り切れるもの。潔い死を選ぶのではなく、ジタバタ生きればいい」
大黒柱は責任感が強い。一人で何でもしようとする。一人で何でもできるようになるため強くあろうとする。でも、実際には一人で出来ることには限りがある*1。それは分かっているけれど、一人で何とかしようとする。強くあろうとする自分の影と、それに追いつかない実在の自分。比較するとつらくなる。つらい思いは、ある時、悲劇的な行動力を生む、、、、かも知れません。
悲劇的な決壊を避けるための最大のアドバイザーはきっと傍にいます。僕が心懸けていることのすべて、それはあったこと感じたことをすべて妻*2に話すことです*3。
僕は大黒柱なんて大したものではありませんし、一人で抱え込むほどの度量もありませんので、こういった話をすることは何ら抵抗無くできます。でも、いろんな美学のある人には一種大変なことなのかも知れませんね。でも、美学といいますが、「潔い死」の瞬間はある意味美しくても、その後には醜く周囲にとっては迷惑なだけの状況が多々発生することをお忘れ無く。この部分は決してどんな人の美学にも適合しないものと確信します。
このブログを読んでいる人が苦しくてどうにもならないなんて状況に置かれていないことを切に願いますが、もし、そんなときに偶然この記事を見たら、話し相手を見つけて、弱みをみせまくってジタバタして下さい。話相手から直接的なアドバイスはもらえなくても、話すことそのものによって、何かが変わるかも知れません*4。