強制執行事件

法的な権利は確定した。でも、実現できていない・・・・

 訴訟や調停・審判など法的な手続をとり、もしくは公正証書などを作成して、その結果として一定の権利が認められた方に関連する業務です。
 ご存知のとおり、権利が確定したからといって、それが現実のものとなるかどうかは別問題です。裁判所は権利の存在を判決という書面で明らかにはしてくれますが、その実現まで保証してくれるわけではありません。あなたの相手方が、裁判の結果に従って任意に履行をしてくれなければ、権利が実現されない場合がたくさんあるのです*1*2
 このようなときに、「強制執行」という選択肢があります。強制執行は、民事執行法などの法律の定めに従って、相手の財産から貴方の権利を実現する方法です。

強制執行についても弁護士に相談してください。

 権利実現のためにどのような手段があるか、そのケースでその方法が使えるかなどについて、弁護士は法律相談を提供しています。
 例によって、相談するのはどこでも結構です。弁護士会や法テラスなどの常設相談場所でも,市役所などの相談でも,僕の事務所でも大丈夫です。
 権利を確定させるところまでは頑張ってみたけれど、せっかく確定した権利が実現できないことに無力感を感じ、そこで立ち止まってしまう方が多いのが残念です。確かに、相手の資力など諸条件を総合検討しても、やはり回収不能というケースも多いのですが、試してみなければ分からないこともあります。まずは、相談からはじめてみてはいかがでしょうか。

どんなことをするか(イメージ:金銭債権の差押を例にします)

  1. 強制執行手続では、まず、権利を確定した証である債務名義を確認し、これに必要に応じて執行力を備える手続をとります*3
  2. これと平行して、最低1回は相手方に対して任意での履行を促します*4
  3. 管轄裁判所*5に債権差押命令を申立、発令を受けて、当該金銭債権を差し押さえます。
  4. 次に、差し押さえた債権から、依頼者の債権相当額の支払を受けます。
  5. ひとつの強制執行で、全額を賄いきれないときは、上記を繰り返します。

*1:例1:破産状態にある人に対して「貸した金を返せ」という訴訟を提起すれば、十中八九、欠席裁判になって相手方に対する権利は簡単に確定します。それでも、相手が任意に払ってくることはほとんどありえず、最終的には破産免責となって、法的な請求権が消滅してしまいます。

*2:例2:離婚した夫に対して「養育費を払え」と調停をしたところ、延々と欠席。最終的には審判によって養育費の負担額が定まりますが、相手が任意に支払いを続けて、支払期間の終期までつつがなく進むことは稀だといわれます。

*3:不要な場合もあります

*4:ただし、相手方の連絡先が不明な場合などを除きます

*5:相手方の住所地か、債権の所在地