本人訴訟の難しさ
相手方が弁護士をつけていない、いわゆる「本人訴訟」の法廷が2件もありました。それぞれ全く別の性質の事件ですが、当事者同士の距離の取り方、裁判所と相手方の関係、裁判所とこちら側との関係など、いろいろと考えさせられることがありました*1。同行していた司法修習生にとってもいい勉強になったのではないでしょうか。
さて、今日の2件を離れての話ですが、本人訴訟にはいくつか注意しなければならない点があります。
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- こちらの主張や言い分が、直接相手本人に届く
介在者によるクッション効果は期待できません。相手の反応に関して、特に注意しながら発言、文書起案しなければならないでしょう*2。代理人が双方に付いているような事件では、ある程度きつい言葉の書面をやりとりしても、代理人が趣旨を理解してくれることが多いのであまり問題になりません。が、本人同士だと気をつけなければいけないケースもあります。
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- 争点が無用に拡大しないように注意が必要
何でもかんでも争う相手方もいます。争点が些細な点も含め、非常に広範囲勝つ散漫な形で広がる虞があります。代理人が付いて争点を整理しながらすすめる場合に比べて、争うポイントが増えるために、解決に時間がかかる事があります。勇気を持って、戦略的に争点をつぶしていく必要があります。
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- 時間がかかるので、自分側の準備はなるべく早めに
弁護士が付いているからと言って常に早いわけではありませんが*3、本人の訴訟行為は、多くの場合、期日当日に行われます。期日間準備と言っても、当日まで相手の訴訟行為の内容が分からないことも多いです。そして、共通の専門用語が使えないことや、弁護士であれば即答できることを持ち帰って検討されたりします。また、双方に代理人が付いている事案の場合、事件を弁論準備などに付して、機動的な争点整理を行うことが多いですが、本人訴訟の場合は、公開法廷での弁論手続を反復して事件審理を進めていくので、どうしても期日が入りにくく*4、これも時間がかかってしまう要因になります。