簡単でしょ

設例と回答

電話にて
依頼者「裁判所から,○○事件という題名で,○○という内容の訴状が届いたんです」
弁護士「なるほど、では,事務所においでいただいて,内容を拝見させてください」
依頼者「電話でも大丈夫ですか」
弁護士「いえ,やはり裁判になるような内容ですしね。具体的にどのような内容を求めているのか,確認しなければアドバイスも出来ませんよ。」
依頼者「でも,相手の言い分はおかしいですし,大体のことは電話で私がお話ししますから,,,,,こんな問題,先生やったら簡単でしょ」
弁護士「・・・*1・・・いえ,全部を電話で御説明いただくのも大変ですしね。法律の文書独特の言い回しがあったりして,あなたが気づかないところもあるかもしれないでしょう。私としては,文書を見ないでアドバイスするなんて,,,とても怖くて出来ませんねえ。*2

解説

 急いでおられたりして,「とりあえず聞きたいところだけ電話で聞いちゃえ」という方からの電話ですね。こういうやりとりはまたまたあるもんなんです。今回の例で用いた「訴状」以外でも内容証明郵便が届いたとかの場合でも同様のやりとりがあります。
 相手のある事件の場合,相手の言い分や主張とその根拠について検討しておくことはとても重要です。その意味では,相手方からの宣戦布告文書たる内容証明郵便や,訴状などをお持ちになってご相談いただく必要はとても大きいと思います。そして,これらの法律文書には,いろいろなテクニックやレトリックが用いられていて,一筋縄ではいきません。簡単でしょ,と言われると,自分で書いた者でもないのですが,なんか違和感を憶えてしまいます。決して油断してはいけません。

追伸

 法律相談料を節約しようとしている方も,,,,,ごくまれにいるような気がしますが,,,,,なんといいますか,その辺,よろしくお願いします。

*1:弁護士たるもの、ここで「なんだよ。簡単なら自分でやれよ。自分で出来ね〜から法律事務所電話してきてんじゃないのかよ!」などと食ってかかりたい御仁もおられるかもしれませんが、ぐっとこらえて→

*2:←このあとも「それでも電話で」とか「簡単でしょうに」と続くようならお断りしますけど。ご理解いただければ,法律相談になります