車外放出事故

 車の事故による死亡者は年々減っているという報道がここ数年続いています。事実,僕たちが大学や司法試験受験をしていた平成10年ころに比べて,ほぼ半減しているのです。自動車の安全装置が進化したり,安全に関する法的規制が強化され,人々の意識が少しずつ変わったその成果だとは思いますが,まだまだ痛ましい事故は続いて発生しています。

5歳女児が後部座席から車外へ、後続車にひかれ死亡…福岡
  1月1日22時55分配信 読売新聞

(前略)後部座席に乗っていた立花さんの父親正博さん(53)と妹の楓ちゃん(5)が車外に投げ出され、楓ちゃんは後続の乗用車にひかれて死亡した。立花さんと正博さん、助手席に乗っていた妹の咲さん(16)は頭などに軽傷。県警高速隊によると、片側3車線の直線道路。立花さん一家は大分県の親類宅に向かう途中だった。立花さんが何らかの原因でハンドル操作を誤ったとみて調べている。(後略)


 交通事故弁護士として死亡事故を扱うことも多いですが,高速道路上の死亡事故では,やはりシートベルトをしていなかった同乗者が事故の衝撃でガラスを突き破って車外に放出され,後続車に轢過されて死ぬというケースが結構あります。今回の事故で,後部座席にいた妹さんがジュニアシートとシートベルトを装着していたかどうかは分かりませんが,おそらくしていなかったのではないかと思われます。後続車としてはいかに車間距離を保っていたとしても,高速で移動しており,突然,走行車線上に人が落ちてきたとして,これを適切によけられる訳もありません*1。同乗者の命を守る義務は運転者にあり,命を守るチャンスも運転者が握っているということを肝に銘じて,運転手の方は,ゆめゆめシートベルトなどの安全装置については怠りのないようにして欲しい思います。

*1:片側1車線の自動車専用道路などもありますから