時効制度見直し

 現在,我が国の私法の基本実体法である民法の改正作業が進められていますが,この中では,時効制度の改正が一つのテーマとなっています。それだけでも,おおすごいな〜,と思っていたのですが,今日の報道によると,民事における時効制度だけでなく,刑事事件における公訴時効についても改正が検討されているようです。時効制度については,民事刑事ともいろいろな論点があり,どのように改正されても,引き続き僕たち法律実務家や学生の頭を悩まし続けるだろうと思います。研鑽を怠ることは出来ません。

<時効>見直しで勉強会設置へ…殺人は引き上げも 法務省
             1月4日2時30分配信 毎日新聞 

 刑事事件の公訴時効の見直しを検討する勉強会を法務省が今月にも設置する方針であることが分かった。殺人事件の公訴時効について被害者遺族の感情を踏まえ、現行の25年から引き上げることも検討する。殺人事件の公訴時効は、04年、改正刑事訴訟法で15年から25年に引き上げられた。しかし、未解決事件の遺族からは「犯人が捕まるまでは気持ちが癒えない」などの声が多い。殺人事件の時効停止など見直しを求める意見も相次ぎ、それらに配慮したとみられる。(後略)


 それにしても最近の法律改正はペースが速すぎて,追いついていくだけでも大変です*1。法制審議会ではなく,現場*2からの声である点はいいのですが,被害者に関する法律上の位置づけが劇的に変化してきている点は気になります。法律の作り方,規範の安定性ということを考えるとき,このように急激な変化ははたして望ましいものなのかな,と思いました。

*1:刑事の時効についてみても,4年前には大幅な時効期間引き上げがあったにも関わらず,また個々で議論されている訳ですから

*2:記事には,引用部分以外に,法務省の担当部署云々というくだりがあり,捜査現場を抑止っている検察官が本省勤務について議論をリードしているような気配を感じます。そうだとすれば,現場からの声ということになるでしょう