アリのフェルダ

ありのフェルダ (世界傑作童話シリーズ)

ありのフェルダ (世界傑作童話シリーズ)

 ここ数日寝る前に読んでいる絵本です。著者のオンドジェイ・セコラはチェコ童話作家*1です。チェコの大学で邦楽を学んだあと,新聞記者,ラグビーのトレーナーや審判をこなすなど多彩な経歴の持ち主みたいです。チェコは児童文学が盛んで,邦訳された絵本もあり,フェルダはその一つ。そういえば,浦沢直樹の「MONSTER」でも,チェコの童話だか昔話だかの伏線が張ってありましたよね。
 主人公のフェルダというアリ。チェコではとても有名で愛されるキャラクターのようです。とてもクールでワイルドでも,女性には弱く,そこで失敗はするけれど,元気に自由に生きていく! そんな感じの主人公。とても気持ちのいいヤツです。
 ちなみに,思わせぶりな態度でフェルダの気を引いていたテントウムシが,大げさな被害申告をしたために,フェルダが逮捕勾留され,裁判でも有罪判決を受けてしまうくだりは法学部出身の著者ならではの展開です。真実に誇張が含まれがちな被害者供述の心理。目撃証人が虚偽の供述をしてしまう時の心理的な揺らぎ,被害申告を受けた警察官の対応などが,とてもリアルな一冊です。法学をたしなんだパパ達は,機会があれば一度手にとって子供に読んであげては?

*1:1899-1967