契約準備段階の過失

ものすごく司法試験時代を思い出さされる裁判例です。僕らが学生時代に学んでたのは、「歯医者さんがあるテナントに入居しようとしていたところ、交渉中にさんざん要望を出しビルのオーナーもその都度対応してくれて、いろんな設備投資をしてくれた。それなのにこの歯医者さん、結局、賃貸借契約も締結せず、ビルに入居しなかった」という事例でしたっけ。こういう場合、「最終的に稟議通ってない」とか、「契約が成立していないのに」という言い訳は立たないんです*1。何事もドタキャンは相手に迷惑であり、いけませんよ、ということですね。

賃貸契約ドタキャンで賠償命令=損害1億5万円−米系金融グループに・東京地裁

 オフィスビルの賃貸契約の締結寸前に交渉を打ち切られ、損害を受けたとして、住友不動産が米系金融業フィデリティグループの日本法人に3億円余の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(金光秀明裁判官)は7日、約1億5000万円の支払いを命じた。
 金光裁判官は、契約をやめたのは、グループ会長がオフィスを視察して交渉を進めるよう指示しながら、後日になって気が変わったのが原因と指摘。「会長が承諾しないという理由で拒絶したのは、到底正当な理由とは認められない」と述べた。
 その上で、住友不動産が新たな賃借人を見つけるまでの約6カ月間の損害額を約1億5000万円と認定した。 
時事通信) - 7月7日23時0分更新

ところで、グループ会長さんは何が気にくわなかったんでしょうか。。

*1:割と有名な法理なんですが、この会社はこの契約の締結過程について、法務部とか顧問弁護士とかのチェックは通していたんでしょうかね。そこまでしないんでしょうね。顧問弁護士とかしっかりした法務部とかがいるなら、使える場面ではちゃんと使ってあげないと宝の持ち腐れになるかもしれませんよ。