定期預金払戻:銀行の時効主張認められず(最高裁)

 自動更新条項ある定期預金債権の時効がいつから進行するかについて、最高裁の判決がありました。

定期預金更新:10年放置でも請求消滅せず 最高裁初判断
 1年の満期を迎えると自動的に更新される特約付きの定期預金を預金者が10年以上放置した場合に、払い戻しを請求する権利が時効で消滅するかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖(ときやす)裁判長)は24日、払い戻しを拒んだ金融機関の上告を棄却した。判決は「更新期間中は放置しても時効は進行せず、預金は消滅しない」との初判断を示した。同種訴訟では消滅を認める高裁判決も出ていたが、預金者側に有利な判断となった。(中略)合併や営業譲渡を経て訴訟の被告となった東京スター銀行(東京都港区)は「帳簿類の保存期間に限度があり、10年以上前の預金の払い戻しを請求されても書類が廃棄されていて二重払いの危険にさらされる」と主張。これに対し、第3小法廷は「預金者の申し出などにより更新が停止された後の初回満期日から時効が進行する」と判断、男性勝訴とした2審を支持した。【木戸哲】毎日新聞 2007年4月24日 12時05分 (最終更新時間 4月24日 12時59分)

 時効の起算点を「預金者の申し出などにより更新が停止されたとき」とした判断は妥当なものと思われます。特に、自動更新条項のある定期預金ですから、預けた側は「自動更新」という特約に着目しているはずで、最初に満期が来たときにから10年で消滅する可能性があるということでは、わざわざ自動更新を選択した意味が無いということにもなります。帳簿保存期間という銀行側だけにしかわからない事情をものさしにすること*1はできませんから、預金者も銀行も一つの区切りとして認識できる更新停止の申し出時期というのが起算点になるのは合理的です。
 なお、帳簿の保存期間云々の主張は、金融機関からよく出てくるのですが、、、、帳簿の廃棄に当たっては、取引が継続しているものと終わっているもので区別すべきなんじゃないでしょうか*2

*1:つまり、預金者側では容易に把握でき無い事情だけで権利が消滅してしまう

*2:だいたい、10年以上も定期預金を預けてくれる優良顧客、常連さん(ほったらかしだから銀行に顔を出したりはしないんでしょうけど)なんですから、法的にはともかくとして、サービスを厚くしてあげてもいいと思うんですけどね。どうなんでしょう