相続権不存在確認請求 最判H23.3.16

 遺言書の偽造を理由とした相続権不存在確認の訴え。
 被相続人Aについて、相続人がXとYとZ。Yが遺言を偽造したと主張するXが、YとZを被告として遺言書の無効確認と、Yに相続人としての地位がないことの確認を求めて提訴。
 1審は、遺言書の無効は認めたが、偽造を認めず、後者の請求を棄却した。
 相続権不存在確認請求についてXはYZに対して控訴した。
 原審は偽造を認めてYに対する請求を認容したが、Zには当事者適格がなく、控訴の利益がないとして訴えを却下した。
 この判決に対して、Yが上告。
 最高裁は、相続権不存在確認請求が固有必要的共同訴訟であることを前提にして、Zをも上告人として扱い、XのZに対する請求も認容した。なお、Yの上告は斥けている。

 固有必要的共同訴訟かどうかでいろいろと勝手が違ってきます。相続がらみ、共有がらみ、確認訴訟といったキーワードが出てくる事件では気をつけて組み立てを考えるところです。ちなみにこの判決の先例価値は、Zの取り扱いにあります。上告事件の本来的当事者ではないZに対して、口頭弁論を経ずに、しかも原審の判断を不利益変更(却下判決から認容判決へ)している点にあるようです。それにしても、この事件のZの代理人をしていたらびっくりするだろうなあ。