裁判員

これ,もしあなたが選ばれたらどうしますか?僕だったら,「仕事急いでるんだけど何日拘束されるの?」とか,「休んでも会社から何も言われないかな」とか,「他人の罪の重さなんて決めたくないよ」とか,「報復とかされない?」などといろいろと不安があると思います。今回の世論調査の結果は,これまで同様に相当の不安を反映しているように思います。

裁判員制度:解説 長期審理になお不安、環境整備が不可欠
 5%の人しか6日以上の連日審理に参加出来ないという最高裁の調査結果は、3年後に迫った裁判員制度開始に向け、大きな課題を示した。裁判所や行政には、国民の協力を得るための一層の努力が求められる。

 昨年2月の内閣府の調査では、国民の7割が裁判員に選ばれても「参加したくない」と回答、参加意欲の低さが問題となった。今回も同じ質問に6割が参加したくないと答えたが、「1日も参加出来ない」との回答は3割にとどまる。別の調査では「義務なら参加する」との回答が半数を占め、審理が短期間で終わる場合は消極的ながらも参加意思を持っている国民が多いようだ。

 だが、審理に6日以上かかる場合には不安がある。休廷日を挟めば参加可能の回答が増えるとはいえ「間隔を空けると裁判員の記憶が薄れて非効率的」との懸念もある。

 一方、今回の調査では参加したくない理由を「日程調整が大変」と答える人が最も多かった。「有罪、無罪の判断が難しい」など心理的不安を挙げる回答が最多を占めていた従来の調査とは異なる結果だ。制度導入が近づき、現実的な課題がクローズアップされたとみられる。審理の短縮には限界があり、課題解消のためには裁判員に選ばれた場合に有給休暇と認める企業側の配慮や、行政による介護や育児の支援が欠かせない。環境整備が、制度運用の鍵となりそうだ。【木戸哲】

毎日新聞 2006年4月27日 21時26分

環境整備の問題だけで制度が軌道に乗るのかどうか,僕は疑問です。日本ではアメリカの陪審制度を支えるような歴史的な土壌はないわけで,司法改革とか市民のための司法とかきれいな言葉が踊っていても,結局は陪審制度の中途半端なコピー商品,輸入盤にしか見えません。司法改革といっても,決して民間からわき上がった改革要求に清治が答えたというようなものではなく,「上からの」改革のように感じます(この部分はいかにも日本的ではあります)。この「改革」は,だれがだれのために考え,行っているのでしょうね。あなたが,もし裁判員に選ばれたなら,ついでに考えてみてください。