業務妨害か公務執行妨害か、単なる暴行か

 話題の社会保険事務所で暴力事件が。旧司法試験時代、択一試験の論理問題を思い起こさせるネタですね。

暴行:社保庁職員殴り、65歳の男を逮捕−−浜松・相談待合場
 社会保険事務所の職員を殴ったとして静岡県警浜松中央署は12日、浜松市中区高丘北の無職、池谷益弘容疑者(65)を暴行容疑で現行犯逮捕した。調べでは、池谷容疑者は同日午後5時20分ごろ、同市中区高町の浜松西社会保険事務所で職員(32)の顔を殴った疑い。容疑を否認している。同事務所の相談待合場で職員に、池谷容疑者が「早く対応しろ」と殴りかかったという。【賀川智子】  毎日新聞 2007年6月13日 東京朝刊

 このケースでは「暴行罪」で現行犯逮捕されていますが、判例の基準*1であれば、公務執行妨害罪でも威力業務妨害罪でも構成できそうな気がしますね*2。いずれ検察庁の処分時には、適切な罪名が選択されていることでしょう。
 それにしても殴ったらいけませんね、当たり前ですけど。こういう時期にこういう場所*3でじーっと待たされれば、イライラもするのでしょうけど、あと一歩の忍耐が社会全体に足りなくなっているような気がします。嫌味のひとつくらいでこらえてくれればよかったのに、と思います*4

*1:公務執行妨害の「公務」とは、広く公務員が取り扱う事務のすべてを含む。業務妨害罪にいう「業務」には、強制力を行使する権力的公務を除くすべての公務を含む。

*2:違いが出てくるのは、風説の流布や偽計によって非権力的公務を妨害した場合でしたっけ。完全にうろ覚えですが、考えるのは楽しい。

*3:給料日・月末などの銀行、大きな病院とかはやっている病院の待合室、調停不成立の確認だけなのに調停主任の到着をひたすら待たされる調停室など

*4:これも十分大人気ないですけど