光市事件判決前日

 控訴審判決直前になってようやく、報道の論調もバランスの取れたものになってきたような気がします*1

光母子殺害 本村さん「死刑判決信じる」 控訴審判決前に
4月20日10時26分配信 毎日新聞

 山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審判決が22日に広島高裁で言い渡されるのを前に、遺族の本村洋さん(32)が19日夜、光市内で会見。本村さんは「死刑判決を遺族全員が信じている。だが、判決が死刑でも無期懲役でも、それが真実だと思って生きていく」と話した。
(中略)
 元少年に死刑を求め続けてきたことについては「人を殺した者は命をもって償うべきだが、それが正しいか今も葛藤(かっとう)している」と打ち明け「死刑制度について訴えることは、社会に命の重さを伝える機会になると信じている」と語った。【安部拓輝】

 被害者である本村さんの記者会見の記事ですが、数ヶ月前の論調なら「今も葛藤〜」の部分などは記事にならなかったのではないかと正直思います。報道以外で本村さんの考えや発言に接することがなかったので、本当のところは分かりませんが、今回の会見記事から読み取れる冷静でありながらも葛藤する姿が、本村さんの考えに近いのではないかと感じました。
 実際のところは、被告人の主張内容と報道側の価値観が対立しているのに、あえて弁護団対本村さんという対立構造を設定され、ある意味で矢面に立たされた本村さんは、事件そのもので苦しめられたということだけではなく、その後もいろいろな意味で翻弄されてきたのだなと思います。
 橋下弁護士、今枝弁護士、その他もろもろの方々を巻き込んで、問題提起を続けてきた光市事件は、明日控訴審の判決に至ります。

*1:トピックとしての新規性が弱まってきているということも手助けしているのでしょうが