酒席の同席者にも飲酒運転の制止義務

東京地裁の新しい判決です。これまでも運転して帰ると分かっている客に酒を飲ませた飲食店経営者や,飲酒運転の同乗者が責任を問われたことはありました。このケースではさらに進んで,一緒に飲んではいたものの,飲酒運転者の車に同乗しなかった人にも賠償責任が課されたようです。

 ひき逃げ:飲酒事故、同席者も責任 「運転制止は義務」賠償命令−−東京地裁判決

 飲酒運転の車にひき逃げされ死亡した女子大生(当時19歳)の遺族が、加害者側に計約8100万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は28日、運転者の男性(37)と勤務先の会社に加え、直前まで一緒に酒を飲んでいた同僚(33)にも連帯して計約5800万円を支払うよう命じた。【高倉友彰】
(中略)
 ◇同乗していなくても
 飲酒運転事故を巡る民事訴訟では、一緒に酒を飲み事故車に同乗していた者に賠償を命じた判例はある。今回の東京地裁判決について遺族側の佐々木惣一弁護士は「事故現場にはいなくても、飲酒運転を止めなかったことを理由に賠償を命じた点は画期的」と語った。
 判決は、男性の有罪が確定した危険運転致死傷罪が飲酒運転の罰則を強化した規定であることに触れて「運転者への厳罰は当然として、飲酒をすすめた者にも、飲酒運転をやめさせる義務を怠った場合は民事上の責任がある」と指摘。別れ際の同僚の行動について「早く帰って休みたかったばかりに、自らタクシーや代行運転を呼ぶことなく、男性を駐車場に残して帰宅した」と非難した。飲酒運転の悪質性を重くみて周囲の人間にも制止すべき責任を負わせた判決は、飲酒運転に改めて警鐘を鳴らしたといえる。
(後略)
 毎日新聞 2006年7月29日 東京朝刊

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/07/29/20060729ddm041040043000c.html
ここまでくるとちょっと限界事例なのかな,という気もします。注意義務の内容が広がりすぎることに若干の危惧感があります。