民事

判決言渡しの瞬間

民事事件の場合でも、裁判官は判決を法廷で朗読します。しかし、当事者はというと、通常誰も法廷にいません。原告席も被告席にも誰もいない法廷で、「判決の言い渡しをします。主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。以上です。」…

債務整理と裁判

あるご質問 債務整理は話し合いと聞いたが、なんで裁判用の委任状がいるのか?という質問がありました。もっともな疑問です。確かに話し合いが原則ではありますが、話し合いは相手のあることで、相手が強行で話にならないこともしばしばあります。依頼者の方…

相続放棄するときの注意事項

当事務所は町中と言うよりは住宅地に近い場所にあるせいか、やはり個人の法律問題を取り扱うことが多いです。最近多いのが、離婚問題に次いで「相続問題」になっています。相続にも色々あって、プラスの財産がたくさんあってその分け方で紛争を生じるケース…

債務整理事件/過払金請求事件

借金問題で苦しんでいる方(もしくはその周りの方)へ キャッシング、ローン、クレジット、ショッピング、と呼び名は様々ですが、この世の中で生きていくためには広い意味での「借金」と無縁ではいられません。借金の返済で苦労されている方も多いと思います…

裁判所の和解案

裁判は、本来個別の紛争を解決するためのものであり、社会全体のために何らかの判断・決定をするわけではありません。しかし、過去の公害訴訟やその他の集団訴訟で見られるように、個別の紛争解決の形態をとりながらもそれが社会全体に対して大きな影響力を…

借金で力士引退?

借金を重ね、返済に苦しんで相撲どころではない精神状態だったのでしょうか。破産や民事再生などの法的措置で金銭問題を整理しつつ、文字通り裸一貫から本業に集中しなおす、というシナリオは描けなかったものか、と思わされるニュースです*1。 十両高見藤が…

飲み代支払義務の性質

なかなか判決までいかないケースだと思いますが、目に付いたので紹介します。 忘年会飲食代、県議に支払い命令 神戸簡裁 加藤修兵庫県議(49)=神戸市東灘区、民主党・県民連合=が忘年会の飲食代を支払っていないとして、神戸市中央区のふぐ料理店が同県議…

特別代理人

今日は金融機関が原告の事件で出廷しました。被告の特別代理人として答弁です。亡くなった人の相続人が全員相続放棄してしまったため、裁判の被告になる人がなく、裁判所から選任された次第です。 写真は高速神戸駅で見つけた自販機です。PiTaPaで利用出来る…

定期預金払戻:銀行の時効主張認められず(最高裁)

自動更新条項ある定期預金債権の時効がいつから進行するかについて、最高裁の判決がありました。 定期預金更新:10年放置でも請求消滅せず 最高裁初判断 1年の満期を迎えると自動的に更新される特約付きの定期預金を預金者が10年以上放置した場合に、払…

新たな薬害なのでしょうか

数年前にはインフルエンザ大流行の予感から備蓄問題が政治問題化していた「タミフル」ですが、ここ最近は、服用した患者の異常行動が何度か報道され、死亡しているケースもあるようです*1。処方した医師などを通じて医師会や製薬会社に集まる異常行動の症例…

過払金に関する重要最高裁判例

本日付の最高裁判決で、いわゆる過払金返還請求訴訟に重大な影響を与える判断が示されました。理論的な話しは相当難しいので、掻い摘んで説明すると、 払いすぎた利息を取り戻すときに業者から取れる利息の利率は5% 同じ業者から平行して複数の借り入れを…

線維筋痛症・再び

以前、交通事故の関係でも問題となっていた症病ですが、不幸なことがあったようです。 日本テレビの大杉君枝(おおすぎ・きみえ)アナウンサー=旧姓鈴木=(43)が2日早朝、東京都渋谷区内の自宅マンション前で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死…

線維筋痛症

交通事故によって同症を発症したとして賠償を求めた事案について,山口地裁岩国支部でこれを認める判決が出ました。同症と交通事故との因果関係については,発症のメカニズムが明らかになっておらず,(やはり脳脊髄液減少症と同様に)争われたようです。学…

医師の尋問

医師の尋問というのは難しいです。事実について端的に質問に答えてくれればいいのですが、中々そうはいきません。特に医学的な見解や意見主張を長々と話してしまう傾向があります。質問されることに慣れてないせいか、多弁になり、その場での議論をリードし…

時効管理

とても危険なもの,それは「時効」。取得時効は依頼者にとってとても大切なものですし,消滅時効は依頼者にとってとても困るもの。いずれもその管理を誤ると専門家としての責任を問われてしまいます。 弁護士調査放置訴訟:2審も賠償命令−−東京高裁判決 交…

私の交通事故体験

法事で訪れた徳島で事故に遭ってしまいました(涙)。愛車は右前が損傷しながらも自走可能だったので,無様な姿で帰ってきました。土地勘のない場所での事故だったので余計に疲れましたが,何も法事の日に事故らなくてもいいのに。お払いいった方がいいでし…

別荘所有者の水道料金について判決

今日,言い渡しのあった最高裁判決です。避暑地などに別荘を持っている人には多少関心のある話題ではないでしょうか。僕は基本料金に違いがあることも知りませんでしたので,興味深かったです。別荘地の給水は,年間を通した供給量こそ少ないけれど,需要が…

脳脊髄液減少症:実態調査開始

調査の開始が遅すぎるぐらいの印象です。福岡地裁行橋支部の判決*1など個別の司法救済は散見されるようになりましたが,抜本的には「篠永教授をはじめとする一部の医師たちの私見」といった扱いがされない程度に医学的な検証が進むこと,症状と治療とその効…

契約準備段階の過失

ものすごく司法試験時代を思い出さされる裁判例です。僕らが学生時代に学んでたのは、「歯医者さんがあるテナントに入居しようとしていたところ、交渉中にさんざん要望を出しビルのオーナーもその都度対応してくれて、いろんな設備投資をしてくれた。それな…

高次脳機能障害

積極的な司法判断です。しかし,保険会社側は控訴すると思います。似たような問題状況は,最近注目されている「脳脊髄液減少症」でも起きています。医療の世界で意見が分かれている事象に対して,司法判断がどこまで踏み込むかは難しいところですが,司法の…

振込手数料

民事調停で金銭の支払いが決まると,「後は支払方法を決めましょう」という段になります。相手方が振込手数料の受取人負担*1を主張した場合,どうしたものでしょう。まず,民法の定める原則は次の通りです。 (弁済の場所) 第四百八十四条 弁済をすべき場所…

反対尋問

例えば,原告として訴訟を起こした相手方本人を,被告側の立場で尋問すること,これが反対尋問です。 訴訟を起こすということは,それまでの話し合いの過程では解決できなかったということであり,長い戦いの末にたどり着いた尋問期日なのです。発言の機会に…

調停

簡易裁判所で行われている民事調停*1は,当事者双方の話し合いで事件の解決を目指すものです。話し合いは,裁判官と民間の委員2名で構成する調停委員会が主催します。調停委員は公平な第三者として双方の話を聞き,紛争解決に向けた道筋をつける努力をして…